いるかの絵 ハワイ ドルフィンスイム ダイアリー


去年の夏は、子供達をイルカビーチに毎週末のように連れて行った。

足の立つプールでしか泳いだことのない子、冷たい海の水に身体をつけるのを嫌がる子、こんな子供達を西のはずれのビーチまで毎週末連れて行った。

年齢は様々。
6才、8才、10才の男の子や女の子。

到着すると、最初は朝の光りにキラキラ輝く人の気配のないきれいな白い砂のビーチとおだやかな青い海を見て、元気に車の中から飛び出す。

そして最初に始める遊びはカニ探し。砂の中に穴を掘ってカニが潜んでいる。時々顔や姿を見せるその瞬間を狙って子供達が突入。あらあら不思議。カニは簡単に子供達に捕まって持ってきたバケツの中に放り込まれる。

カニだけでは淋しいので今度は潮がひいた時にできる浅瀬の水たまりで小さなお魚を探しはじめる。

お魚を捕るのはカニを捕るより難しいけど、根気よく皆で探している。

ある時私も助っ人で参加した。
ダイビングのインストラクターの時からお魚、タコを手で捕るのが得意だった私。

浅瀬の水たまりのお魚も手で捕ってあげる!

といさんで参加したけれど... これはこれで難しい。浅瀬の中に小さな魚発見。子供達とじっとその魚を目で追う。と視界の隅っこに水しぶきが入ってきた。それを無視してなおしつこくお目当ての魚を目で追う私達。あ、また水しぶき。そうしてもう一度。今度はその水しぶきのほうに目をやると、一人の子供めがけて水しぶきが浅瀬の岩と岩の間からもう一発。その子も何度か自分の頭に水がかかって顔をあげた。まるでその水しぶきは水鉄砲で誰かを狙い定めているかのよう。

今度は皆でその水しぶきの発生する岩と岩の間の隙間を覗くと、なんとそこには小さなタコが目と口を突き出して、またまたお目当ての子供めがけて水を吹く。子供達は最初なんだかわからなくてぎょっとしていたけれど、私は指をさっと入れて子ダコの身体をくすぐった。

そうすると子ダコはがまんできなくて、するすると隙間から私の指を伝って外に全部身体を現わした。子供達は大喜び。私はおかしかった。まるで私達が魚ばかり目で追って行て近くにいる子ダコには目もくれなかったから子ダコが自分の存在を私達にアピールしているかのように思えたから。

子ダコもカニと一緒に彼等のコレクションとなりバケツの中に治まった。そうこうしているうちに西の沖のほうからイルカたちがやってきた。子供達にドーする? と聞くと、皆「イルカと泳ぐ!」と元気いっぱいな答。

シュノーケルの使い方、泳ぎ方、浮き具の使い方を教えて海の中へ。皆すでに浅瀬でお魚達と慣れ親しんでいるので、イルカの泳ぐ少し深い(8m)海に入ってもすいすい泳ぐ。冷たい海の水が嫌! と言っていた子供も全然大丈夫。

イルカの群れの中に入ると子供達はイルカの真似をしだした。それを観察していたイルカ達はおもしろがって子供達の周りをクルクル回る。そして子供達はまたまたイルカの真似。私の目にはイルカと子供達が遊びたいという同じ心を持って一つになっているようにその瞬間が映った。

タウンに戻ってからイルカの絵を描いて、と子供達にリクエスト。

子供達はすぐにクレヨン、色鉛筆等を使ってその辺にある紙にさささと描いてプレゼントしてくれた。その絵は私の部屋の壁に飾ってある。冬の間、何ヶ月も北と西に大きな波が来ていて、イルカのビーチに泳ぎに行くことができなかった。でも壁にかかっている絵の中から、イルカと子供達が時々飛び出してきては、遊び心をふりまいて行く。

つい先日、東の街に住んでいる子供に、

「あの海にまた連れて行ってね、今度はイルカのジャンプをマスターするんだ」

と頼まれた。

もちろん。
そして今度はイルカとジャンプする子供達を、写真に撮れたらと思っている。

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