ハワイ島のマウナケア山頂(標高約4,200m)に国立天文台が設置している「すばる望遠鏡」の、近赤外線コロナグラフカメラCIAO(チャオ)を用いて観測した結果、総合研究大学院大学、国立天文台などの研究者からなるチームが、FN Tau(おうし座FN星)と呼ばれる重さが太陽の10分の1しかない若い星を確認、惑星が生まれる現場である原始惑星系円盤を、直接撮像することに成功しました。
地球のような惑星は、若い星を取りまく円盤状のガスと塵のかたまりから生まれます。そのため、この円盤は「原始惑星系円盤」ともよばれ、太陽のような恒星が生まれ成長するのと同時に自然につくられる構造で、円盤中で塵が成長して微惑星が形成され、微惑星どうしの合体衝突などによって、惑星が誕生すると考えられています。
ですから、惑星がどのように形成されるのかを理解するには、若い星の円盤を調べれば良いということになります。惑星の誕生は、天文学における最重要研究課題のひとつで、年齢10万年〜100万年程度の若い星の星周構造を調べる研究が、以前から盛んに行われています。
今回、この原始惑星系円盤を観測したFN Tauは、太陽の重さのわずか10分の1しかない軽い星で、地球から460光年離れたおうし座の方向にあり、誕生後10万から100万年程度の恒星です。惑星には、比較的小さい地球型惑星と、その数百倍の質量をもつ木星のような巨大惑星が存在しています。
太陽系には両タイプの惑星があり、FN Tauの周りに見つかったような軽い円盤の中では、小さな地球型惑星しか形成されないと考えられています。すなわち、地球のように小さい惑星が、もしかしたら太陽系外で初めて見つかる可能性があるというわけです。
これまでに発見された、約270個の太陽系外惑星の多くは木星型巨大惑星で、最小でも地球の質量の5倍もあります。地球型惑星と言える例はまだありません。
太陽系外惑星探査の急務は、今回のような軽い星の周りで地球型惑星を発見することなのですね。
Subaru Telescope, NAOJ
www.subarutelescope.org |