海上自衛隊のイージス艦「こんごう」は、ハワイ時間で先週の月曜日(12月17日)の正午過ぎに、ハワイ沖の太平洋上で、初の弾道ミサイル迎撃実射訓練を実施しました。
「こんごう」から発射された迎撃ミサイル「SM3」は、模擬弾道ミサイルを大気圏外で直撃し、破壊することに成功しました。
今回の実射訓練が成功したことにより、ノドンやテポドン1など、日本を標的とする北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対抗し得る手段を、日本は手に入れたことになります。
カウアイ島のアメリカ海軍太平洋ミサイル射場から、12:05に1発の模擬弾道ミサイルが発射されると、同じくカウアイ島北部海域で待機していた「こんごう」は、それと同時に、模擬弾道ミサイルの探知、追尾を開始しました。
発射から約4分後、迎撃ミサイル「SM3(ブロック1A型)」を発射。その約3分後、高度100km以上の宇宙空間で、模疑弾道ミサイルの弾頭に命中し、破壊しました。
SM3による迎撃実験は、今までにアメリカ軍が13回実施し11回成功しています。日本の海上自衛隊が実験(迎撃実射訓練)するのは、今回が初めてです。
北朝鮮が保有する、中距離弾道ミサイル「ノドン(射程約1,300km)」を想定し、模擬弾道ミサイルも、発射後にミサイルの推進部分と弾頭部分が分離する、「ノドン型」と呼ばれるものを使用しました。
分離しない「スカッド型」と呼ばれる模擬弾に比べ、飛行速度がマッハ10前後と速いため、迎撃の難易度は高く、今回の実験の成功によって、イージス艦による迎撃の信頼性の高さが証明されました。
1998年8月、北朝鮮が日本列島越しに発射した弾道ミサイル「テポドン1」をきっかけに、日本はアメリカと共同でミサイル防衛(MD)システムの早期配備を急いできましたが、今回の迎撃実射訓練の実施までに、約10年もの月日を要しました。
「発射実験の成功は、緊密な日米防衛協力の象徴」と江渡副大臣は話し、「日米の強力な同盟関係が確認できた。日本には、同盟国の中でミサイル防衛を先導する役割を担ってもらいたい」と、同席したアメリカ合衆国国防総省ミサイル防衛局のヘンリーオベリング局長は、実験の意義を強調しました。 |